米CFTCが仮想通貨の証拠金利用ルールを更新、ビットコイン・イーサに20%資本賦課を明文化

仮想通貨

議会が止まる中、規制当局が実務ルールを先行整備

米国では仮想通貨の市場構造を定める「CLARITY法」が上院採決で否決されるなど、立法面での規制整備が停滞しています。

そうした中、米商品先物取引委員会(CFTC)は9月24日、仮想通貨資産やブロックチェーン技術の実務上の扱いについて、既存のFAQ(よくある質問)を更新したと発表しました。

議会が足踏みを続ける一方で、実務を所管する規制当局が先に手を動かし始めた格好です。

証拠金としての仮想通貨利用ルールを明確化

今回の更新でまず整理されたのが、先物取引業者(FCM)が顧客から預かった仮想通貨資産を、証拠金としてどこまで扱えるかという点です。

CFTCのFAQでは、非証券型の仮想通貨資産(ステーブルコインを含む)について、FCMが顧客の証拠金や未払い残高の担保として利用できることを確認しました。

一方で、ビットコインとイーサリアムの自己勘定ポジションについては、証券会社向けの既存ルールに合わせる形で、20%の資本賦課(追加で確保しておくべき自己資本の割合)を課すことが明文化されています。

さらに、清算機関(DCO)についても、一定のリスク基準を満たすことを条件に、仮想通貨資産を清算取引の当初証拠金として受け入れられることが認められました。

ただし、清算を介さないスワップ取引の担保としては、仮想通貨資産は引き続き利用できないとされています。

項目 内容
発表日 2026年9月24日
発表元 米CFTC(商品先物取引委員会)
FCMの証拠金利用 非証券型の仮想通貨資産(ステーブルコイン含む)を証拠金として利用可
BTC・ETHの自己勘定 20%の資本賦課を適用
清算機関(DCO) リスク基準を満たせば当初証拠金として受け入れ可
対象外 清算を介さないスワップ取引の担保

トークン化資産・ブロックチェーン記録も対象に

今回のFAQ更新は証拠金ルールだけにとどまりません。

トークン化された資産やブロックチェーンによる記録管理についても、新たな整理が加えられています。

登録業者が、顧客資金をトークン化された許容資産で運用することが認められる一方、トークン化したからといって自動的に担保として適格になるわけではなく、対象資産自体が既存の規制要件を満たしている必要があるとされています。

あわせて、ブロックチェーンや分散型台帳による記録が、CFTCの定める記録保持義務を満たせることも確認されました。

スーツ姿の人物がタブレットでグラフと仮想通貨のチャートを確認している様子

編集部コメント:「法律より先に実務が動く」規制の現実

仮想通貨の規制というと、どうしても法律そのものの行方に目が行きがちですが、実際の市場参加者にとっては、CFTCのような実務官庁が出すFAQやガイダンスのほうが、日々の業務に直結する影響を持ちます。

CLARITY法が議会で足踏みする中、CFTCが先に実務ルールを整備したことは、「法律の制定を待たずに、既存の権限の範囲でできることから進める」という規制当局の現実的な姿勢を示しています。

仮想通貨業界にとっては、不確実性が多少なりとも解消される前向きな動きといえそうです。

日本の投資家・事業者への影響

今回の動きは米国内の規制ですが、米国の金融機関と取引のある海外の仮想通貨関連事業者にとっても無関係ではありません。

米国の大手金融機関が仮想通貨を証拠金として扱いやすくなれば、機関投資家によるビットコイン・イーサリアムへの資金フローにも一定の影響が及ぶ可能性があります。

日本国内では金融庁による独自の規制整備が進んでいますが、米国の規制動向は市場全体のセンチメントに影響しやすいため、今後も継続してウォッチしておきたいポイントです。

なぜ「20%の資本賦課」が重要なのか

資本賦課という言葉はなじみが薄いかもしれませんが、簡単に言えば「価格が変動しやすい資産を扱う業者に、あらかじめ余分な自己資本を積んでおかせる」ための仕組みです。

ビットコインやイーサリアムは株式や債券と比べて価格変動が大きいため、証券会社向けの既存ルールと同じ水準の割引(ディスカウント)を適用することで、価格急落時のリスクに備えさせる狙いがあります。

この数値が明文化されたことで、金融機関側は「どれだけの自己資本を確保しておけば、仮想通貨を自己勘定で扱えるのか」をあらかじめ計算できるようになりました。

曖昧だったルールが数値化されることは、機関投資家が市場に参入する際の心理的なハードルを下げる効果も期待できます。

清算機関(DCO)の役割とは

清算機関(DCO)は、先物やデリバティブ取引において、売り手と買い手の間に立ち、取引の履行を保証する役割を担う機関です。

今回、この清算機関が一定の基準を満たせば仮想通貨資産を当初証拠金として受け入れられるようになったことで、仮想通貨を絡めたデリバティブ取引の決済インフラが、一段と整備された形になります。

ただし、清算を介さない相対(あいたい)のスワップ取引については、引き続き仮想通貨資産を担保として使えないとされており、リスク管理の観点から一定の線引きが維持されている点も押さえておきたいポイントです。

編集部の視点:規制整備は「追い風」にも「向かい風」にもなりうる

資本賦課や証拠金ルールといった話は、一見すると仮想通貨業界にとって規制強化というネガティブな印象を持たれがちです。

しかし見方を変えれば、こうしたルールが明文化されることで、仮想通貨が既存の金融インフラの中に正式に組み込まれていくプロセスの一部とも捉えられます。

不透明なグレーゾーンのままでは参入をためらっていた機関投資家にとって、明確なルールが整備されることはむしろ参入障壁を下げる効果を持ちます。

今回のCFTCの動きも、長期的には仮想通貨市場の成熟を後押しする一歩として評価する声が出てきそうです。

トークン化資産という新しい論点

今回のFAQ更新で整理されたもう一つの重要な論点が、トークン化された資産の扱いです。

トークン化とは、株式や債券といった伝統的な金融資産を、ブロックチェーン上で扱える形式に変換する技術を指します。

今回、登録業者が顧客資金をトークン化された許容資産で運用できることが確認されましたが、重要なのは「トークン化したからといって自動的に担保として認められるわけではない」という点です。

あくまで、対象となる資産そのものが既存の規制要件を満たしていることが前提条件になります。

技術的な形式が変わっても、資産そのものの質が問われるという、ある意味で当然ながら重要な原則が改めて確認された形です。

あわせてブロックチェーンや分散型台帳による記録が、CFTCの定める記録保持義務を満たせることも今回確認されており、事務手続きのデジタル化という面でも実務的な意味を持つ整理といえます。

参照元:crypto.news「Crypto can serve as derivatives collateral. What happens when its price falls?」
https://crypto.news/crypto-can-serve-as-derivatives-collateral-what-happens-when-its-price-falls/

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