新体制で初めての具体的な組織再編
2026年に就任した新CEOのジョン・ターナス氏のもと、Appleが組織のスリム化に向けた具体的な動きを見せ始めました。
ハードウェアエンジニアリング部門を中心に、プログラムマネージャー職を含む中間管理職ポストの削減がすでに始まっているといいます。
直近2週間の間に、約6名のディレクター級を含む複数のマネージャーが対象になったとされ、影響を受けた従業員には社内の別ポジションを探すための数週間の猶予が与えられ、見つからなければ年内に解雇される見通しだと報じられています。
「製品開発の要」だったポストにメス
今回削減対象となったプログラムマネジメント職は、長年にわたりAppleの製品開発プロセスの中心的な役割を担ってきたポジションです。
具体的には、開発スケジュールの管理や、複数チームをまたいだ作業の調整を担当してきました。
ターナス氏はこれまでも「もっとスリムなApple」を目指すべきだと社内で主張してきた人物とされており、今回の動きはその考えが実際の組織再編として表面化した最初の具体例と位置づけられています。
報道では、今回の件は全社的な人員削減が確定したものではなく、あくまで「ターナス路線によるスリム化」に紐づいた最初の具体的な人事であると説明されています。
春・秋の定例発表から通年リリースへ
組織再編と並行して浮上しているのが、製品発表サイクルそのものの見直しです。
ターナス氏は、Appleがこれまで続けてきた春と秋の定例発表という枠組みから離れ、1年を通じて製品発表を分散させる方向への転換を検討しているとされています。
発表のタイミングを分散させることで、開発チームの負荷を平準化し、より機動的に新製品を投入できる体制を目指す狙いがあるとみられます。
背景にあるコスト圧力
今回の組織再編の背景には、複数のコスト要因が重なっていると指摘されています。
- メモリチップ価格の高騰により、部品コストが上昇していること
- サービス部門の収益が、2022年以来初めて前年同期比で減少したこと
- ターナス氏自身が「より少ない人数でより多くを成し遂げるべき」と社内プレゼンで主張していたこと
これらの要因が組み合わさり、組織全体を見直す機運が高まったとみられています。

編集部コメント:「ポスト・クック時代」のApple像
ティム・クック氏から経営のバトンを引き継いだターナス氏にとって、今回の組織再編は「自分のApple」を作り上げていく最初の一手といえそうです。
これまでAppleは、良くも悪くも安定志向の経営スタイルで知られてきましたが、ターナス氏が掲げる「スリムで機動的な組織」という方向性は、やや異なる経営哲学を感じさせます。
中間管理職の削減というのは、短期的には摩擦を伴いやすい施策です。
それでもあえてこのタイミングで着手したところに、新体制としての本気度がうかがえます。
発表サイクルの見直しも含め、今後数年でAppleの製品戦略そのものが変わっていく可能性があり、注視しておく価値がありそうです。
日本の消費者・投資家が注目すべき点
発表サイクルが春・秋の集中型から通年分散型に変われば、日本の消費者にとっても「新製品がいつ出るか予測しにくくなる」という変化が生まれるかもしれません。
これまでのように「秋にiPhoneの新作が出る」という前提が崩れる可能性もあるため、今後のAppleの発表パターンには注意を払っておきたいところです。
投資家の視点では、サービス収益の減少やコスト圧力といった要因が、今回の組織再編の背景にある点も見逃せません。
Appleの業績動向と合わせて、今後の経営の舵取りを追っていく必要がありそうです。
「中間管理職の削減」が意味すること
今回削減の対象となったプログラムマネージャー職は、開発チーム同士の調整役という、いわば組織の”潤滑油”のような役割を担ってきたポジションです。
こうした調整役を減らすことは、短期的には情報伝達の仕組みを見直す手間を伴いますが、長期的には意思決定のスピードを上げる狙いがあると考えられます。
大企業が成長を続ける過程では、こうした調整役のポジションがどうしても増えていきがちです。
ターナス氏が目指しているのは、組織が大きくなるにつれて鈍くなりがちな意思決定のスピードを、もう一度取り戻すことにあるとみられます。
発表サイクルの分散が製品戦略に与える影響
春と秋に新製品を集中させるこれまでのやり方は、消費者にとって「この時期に新作が出る」という分かりやすさがある一方、開発チームにとっては特定の時期に作業が集中してしまう負担の大きい仕組みでもありました。
発表時期を年間を通じて分散させることができれば、開発チームの作業負荷を平準化できるだけでなく、部品の調達や生産ラインの稼働もより柔軟に調整しやすくなります。
今回のメモリチップ価格高騰のような外部環境の変化に対しても、特定の時期に偏らない発表体制のほうが、機動的に対応しやすくなるという側面もありそうです。
編集部の視点:就任直後の大胆な意思決定が持つ重み
新しく就任したリーダーが、就任から日が浅い段階で組織再編のような痛みを伴う意思決定に踏み切るケースは、企業経営においてしばしば見られるパターンです。
早い段階で手を打つことで、「新体制のもとでの新しいやり方」を社内に明確に示す効果があるためです。
ターナス氏のケースも、この典型的なパターンに当てはまるように見えます。
今回の組織再編が、今後のApple製品の開発スピードや市場投入のタイミングにどのような変化をもたらすのか、次の四半期以降の動向を注視していきたいところです。
エンジニア出身CEOならではの視点
ターナス氏は、ハードウェアエンジニアリング部門を率いてきた技術畑出身の人物とされています。
営業や財務畑出身のリーダーとは異なり、実際の製品開発の現場で何が非効率になりやすいかを肌感覚で理解している立場にあるといえます。
今回、真っ先に手が付けられたのが、現場のエンジニアではなく「調整役」のポジションだったという点も象徴的です。
開発そのものに直接携わる人員ではなく、管理のための管理ポストから見直しを始めるというアプローチは、現場叩き上げのリーダーらしい判断とも受け取れます。
今後、同様の見直しが他の部門にも広がっていくのか、組織全体の変化を追っていく必要がありそうです。
参照元:Bloomberg(Yahoo Finance配信)「New Apple CEO John Ternus is reportedly planning layoffs as he looks to reshape the iPhone maker」
https://finance.yahoo.com/technology/article/new-apple-ceo-john-ternus-is-reportedly-planning-layoffs-as-he-looks-to-reshape-the-iphone-maker-194734002.html



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