Ray-Ban Metaに挑む「もう1つ」の選択肢
台湾HTCのスマートグラス「Vive Eagle」が、欧州・英国・オーストラリアへと展開エリアを広げました。
米国では9月3日から先行販売されていましたが、9月21日からは欧州・英国でも出荷が始まり、オーストラリアでも9月14日から順次届き始めています。
価格は米国が499ドル、欧州は469ユーロ、英国は429ポンド。
Ray-Ban Metaのスマートグラスに対する、もう1つの現実的な選択肢として名乗りを上げた格好です。
ディスプレイなし、AIとカメラに全振り
Vive Eagleの特徴は、レンズ部分に画面を映さない「画面なし」設計にある点です。
スペックを見ると、プロセッサにはSnapdragon AR Gen 1、RAM4GB・ストレージ32GBを搭載し、フロントカメラは1200万画素。
バッテリー容量は235mAhで、待機時間は最大36時間とされています。
AI機能については、OpenAIとGeminiのどちらかを選んで利用できる仕組みになっており、音声で話しかけると内蔵スピーカーから応答が返ってきます。
音楽やポッドキャストの再生にも対応しているので、普段使いのイヤホン代わりとしても機能しそうです。

プライバシーへの配慮も細かく作り込み
カメラ付きウェアラブルにつきまとう「盗撮」への懸念にも、HTCはいくつかの対策を用意しています。
- 装着している時だけ録画できる仕組み
- 「stop filming(撮影を止めて)」と話しかけると自動で録画停止
- 撮影中を知らせる通知LEDを、無効化できないようにする設計
- 撮影データは企業のAIモデル学習には使われず、リクエストも匿名化される
レンズはドイツZeissブランド製で、透明・濃色・調光式から選べるほか、フレームの形状もスクエア型・パント型など複数用意され、カラーもブラックやコーヒー、ベリーなど幅広いバリエーションがそろっています。
Ray-Ban Metaとの違いはどこにあるか
AIスマートグラス市場では、すでにMetaがRay-Banブランドと組んだモデルで先行しています。
両者を並べてみると、狙っているユーザー層の違いが見えてきます。
| 項目 | HTC Vive Eagle | Ray-Ban Meta(一般的な仕様傾向) |
|---|---|---|
| 展開元 | 台湾HTC(VRヘッドセットで実績) | Meta×Ray-Ban(アイウェアブランド) |
| AIの選択肢 | OpenAI/Geminiから選択可能 | Meta AIに一本化 |
| プライバシー訴求 | 録画停止コマンド・LED無効化不可を明記 | 通知LEDを標準搭載 |
| レンズ | Zeissブランド、複数タイプから選択 | ブランドコラボの豊富なフレーム展開 |
HTCはVRヘッドセット「Vive」シリーズで培ってきたハードウェア開発力を武器に、AIの選択肢を絞らない「オープンな設計」で差別化を図っている格好です。
日本上陸への期待と、なお残る課題
画面なしスマートグラスは、メガネをふだんからかけている人にとっては違和感なく導入しやすい一方、視力矯正用レンズへの対応や、日本語での音声操作の精度などが普及のカギになりそうです。
今回の欧州・英国展開でグローバル対応の実績を積み上げていることは、将来的なアジア圏・日本展開に向けた足がかりになる可能性があります。
「常に身につけるAI端末」という考え方
スマートフォンを取り出さずに、話しかけるだけで情報を得られる端末として、AIスマートグラスは「次の入口」になりうるデバイスだと期待されています。
画面を持たないVive Eagleのようなモデルは、スマートウォッチともスマートフォンとも違う立ち位置で、視界を遮らずに常時身につけられるという点が最大の強みです。
翻訳機能ひとつを取っても、旅行先で言葉が通じない相手と会話する場面や、外国人観光客への接客など、日本の読者にとっても具体的に想像しやすい使い道が広がっています。
バッテリー駆動時間や装着感といった基本性能の底上げが進めば、数年のうちに「メガネ型AI端末」というカテゴリー自体が、いまのワイヤレスイヤホンのように当たり前の存在になっていくかもしれません。
普段からメガネをかけている人にとっては、度付きレンズへの対応状況も選ぶうえでの大きなポイントになります。
今回のVive Eagleはレンズをタイプ別に選べる設計になっているため、こうしたニーズにも一定程度応えられる仕組みが整っていると言えそうです。
今後さらに対応地域が広がれば、選択肢の幅もあわせて増えていくことが期待されます。
アジア圏への展開時期についても、続報が出次第あらためて紹介したいと思います。
競合各社の対応する言語や機能がどこまで広がるかによって、この市場の勢力図も今後変わっていきそうです。
眼鏡をふだんから愛用している人ほど、この新しいカテゴリーへの移行はスムーズに進みやすいのではないでしょうか。
今回の欧州展開が成功事例となれば、追随するメーカーもさらに増えていきそうです。
まずは身近な家電量販店やオンラインストアで、実際に試着できる機会が来るのを楽しみに待ちたいと思います。
編集部コメント:「画面なし」勢が世界を回り始めた
AIスマートグラスの世界では、GoogleやMeta、そして先日紹介したRokidなど、各社が「ディスプレイあり/なし」で戦略を分けています。
Vive Eagleは翻訳や音声応答に強みを置く「ディスプレイなし」勢の代表格で、今回の欧州・英国展開によって、この競争が北米だけでなく世界規模に広がってきたことが分かります。
日本ではまだ正式な発売アナウンスは出ていませんが、Ray-Ban Metaも国内投入が検討されていると噂される中、画面なしスマートグラス自体の認知度が今後じわじわ上がっていきそうです。
眼鏡をふだんから使う人にとっては、サングラス感覚で持てるAI端末として気になる存在になるかもしれません。
選べるAIという発想の強み
多くのスマートグラスが自社開発のAIアシスタントに一本化する中、Vive EagleがOpenAIとGeminiのどちらかを選べるようにしている点は、ユーザーにとって地味ながら重要なポイントです。
AIアシスタントには、それぞれ得意な受け答えの傾向や言語対応の癖があるため、選択肢が用意されていること自体がユーザー満足度を左右する要素になります。
すでにChatGPTやGeminiを使い慣れている人であれば、あらためて新しいAIの使い方を覚え直す必要がなく、普段のやり取りをそのままメガネの上に持ち出せる格好になります。
ハードウェアメーカーがAIモデル選びをユーザーに委ねるという設計は、今後の業界標準になっていく可能性も十分にありそうです。
参照元:Engadget「HTC Vive Eagle smart glasses finally come to the west」
https://www.engadget.com/2249332/htc-vive-eagle-comes-to-the-us-europe-uk-aus/




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