行列と人混みのない遊園地、という発想
テーマパークと聞くと、長い行列や人混みを思い浮かべる人も多いかもしれません。
炎天下で1時間待って、乗れるのは数分だけ。
そんな体験とはまったく違う場所を目指すテーマパークが、メキシコに誕生しました。
その名は「BON」。
「Beauty of Nature(自然の美しさ)」の頭文字を取った名前です。
運営するグループは、BONを「世界初のラグジュアリー・テーマパーク」とうたっています。
テーマパーク業界の専門メディアBlooloopによると、BONは10月24日にソフトオープン(プレオープン)しました。
投じられた費用は、15億ドルにのぼるといいます。
BONがあるのはどんな場所か
BONがあるのは、メキシコの太平洋側にある「ビダンタワールド・ヌエボ・バジャルタ」です。
観光地として知られるプエルト・バジャルタの近くに広がる、大型のリゾートエリアです。
運営するのは、メキシコの大手リゾート企業グルーポ・ビダンタです。
同社はヌエボ・バジャルタのほか、カリブ海側のリビエラ・マヤでもビダンタワールドを展開しています。
つまりBONは、ホテルやレストランがそろうリゾートの「中にある」テーマパークです。
遊園地を目的に旅行するというより、高級リゾートでの滞在をより楽しくするための場所といえそうです。
最初に開く5つのエリア
BONは、全部で7つのテーマ別エリアで構成される計画です。
今回のソフトオープンでは、そのうち5つが先に公開されました。
- ラグーナ・フェリス
- セレブレーション・ラグーン
- クリスタル・スター・プラザ
- ディスカバリー・ジャングル
- アドベンチャー・バレー
7つのエリアがすべて完成すると、アトラクションの数は20を超える予定です。
レストランやラウンジ、ショップもあわせて用意されています。
アトラクションの製作には、インタミン、ザンペルラ、ヴェコマなど、世界的なメーカーが参加しています。
いずれも、各国の有名テーマパークで乗り物を手がけてきた会社です。

注目のアトラクション
Blooloopの記事では、いくつかのアトラクションが紹介されています。
| アトラクション | 特徴 |
|---|---|
| Rise of Soluma | 全長372mのコースを最高時速54kmで走る列車型 |
| Floresta Drop | 木々の上40mまで上がってから一気に落下 |
| Time Quest | 家族で楽しめる回転型の乗り物 |
絶叫系から家族向けまで、幅広い年代が楽しめる構成になっています。
運営側の幹部も、「子ども、親、祖父母がそれぞれ特別なものを見つけ、一緒に楽しんでほしい」と語っています。
さらに、パーク内にはシルク・ドゥ・ソレイユの専用劇場もあります。
演目「LUDŌ」は、生のパフォーマンスと映像、食事を組み合わせたショーで、2025年12月から上演されています。
「ラグジュアリー」は何が違うのか
では、普通のテーマパークと「ラグジュアリー・テーマパーク」は、どこが違うのでしょうか。
運営するグルーポ・ビダンタの幹部は、BONについて次のように説明しています。
世界レベルのテーマパークの興奮と、高級リゾートのもてなしを組み合わせた場所だ、と。
この言葉から見えてくるのは、「乗り物」よりも「過ごし方」を重視する姿勢です。
たとえば、次のような体験が想定されていると考えられます。
- 長時間並ばずに、アトラクションをゆったり楽しむ
- 合間には、リゾートらしいレストランやラウンジでひと息つく
- 夜はシルク・ドゥ・ソレイユのショーと食事を一緒に味わう
一般的なテーマパークは、多くの来場者を受け入れることで成り立っています。
入場者が多いほど、売上も上がる仕組みです。
その分、混雑や待ち時間はどうしても避けられません。
BONは、その前提をあえて外しています。
入れる人を絞り、そのぶん一人ひとりの体験の質を上げる。
高級ホテルが客室数を絞ってサービスを手厚くするのと、よく似た考え方です。
世界の「高級化」するレジャーの流れ
こうした動きは、BONだけのものではありません。
世界の旅行業界では、ここ数年「量より質」を求める旅行者が増えているといわれています。
混雑した観光地を避けて、少し高くても静かで特別な体験を選ぶ。
そんな旅のスタイルが広がる中で、テーマパークも同じ方向へ進み始めたといえそうです。
日本の旅行者にとっても、この流れは無関係ではありません。
国内外の観光地で混雑が問題になる中、「お金をかけてでも快適さを買う」という選択肢は、今後さらに増えていくかもしれません。
誰が、いつから入れるのか
ここが、BONのいちばん大きな特徴です。
ソフトオープンの期間中、入園できるのはビダンタワールドの宿泊客だけです。
つまり、「チケットだけ買って遊びに行く」ことは、今のところできません。
一般の来場者に向けた本格オープンは、2027年4月の予定です。
それまでの間に、残りのアトラクションが段階的に加わっていく見込みです。
日本からメキシコの太平洋側へは、米国やメキシコシティを経由して向かうのが一般的です。
移動にはまとまった時間がかかるので、行くなら数泊のリゾート滞在とセットで考えるのが現実的でしょう。
編集部コメント:「待たない体験」に値段がつく時代
テーマパークの世界では、ここ数年で「お金を払って待ち時間を減らす」仕組みが広がってきました。
日本の大型テーマパークでも、優先入場のための有料サービスはすっかり定着しています。
BONは、その考え方をパーク全体にまで広げた存在といえます。
入れる人を宿泊客に限ることで、混雑そのものを生まないようにしているわけです。
また、リゾートの中にテーマパークを置くという組み合わせも、よく考えられています。
宿泊客にとっては、ホテルから歩いて行ける距離に、特別な遊び場があることになります。
運営側にとっては、テーマパークそのものが、リゾートに泊まる理由になります。
お互いの価値を高め合う関係といえそうです。
家族旅行の目線で見ると、三世代で楽しめる点も魅力です。
絶叫系に挑戦したい子どもと、ゆっくり過ごしたい祖父母が、同じ場所でそれぞれの時間を楽しめます。
もちろん、誰もが気軽に行ける場所ではありません。
それでも、「混雑を前提にしないテーマパーク」という発想は、業界にとって新しい試みです。
2027年の一般公開でどんな評価を受けるのか、注目しておきたいところですね。
参照元:Blooloop「VidantaWorld’s BON luxury theme park gets soft opening date」
https://blooloop.com/news/vidantaworld-bon-park-soft-opening



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