起亜の新型格安EVが800Vアーキテクチャ採用、わずか25分で10→80%急速充電

ドライブ 車
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ドイツの商用車ショーで発表された新型EV

2026年9月15日から20日にかけてドイツ・ハノーバーで開催された商業車の見本市「IAA Transportation 2026」で、起亜(Kia)が新型の電気商用車「PV7」を発表しました。

Carscoopsをはじめ複数の自動車専門メディアが、この車両の充電性能の高さに注目して報じています。

PV7は、起亜が展開する「PBV(Platform Beyond Vehicle)」と呼ばれる商用EVラインナップの第2弾にあたるモデルです。

すでに登場している小型モデル「PV5」の”兄貴分”という位置づけで、荷室容量や積載量を拡大しています。

400Vから800Vへ、充電性能が大幅アップ

今回の発表で特に注目されたのが、電気系の基幹となるアーキテクチャの変更です。

先行モデルのPV5が400Vシステムを採用していたのに対し、PV7では800Vアーキテクチャへと刷新されました。

800Vという電圧は、テスラなど一部の高性能EVにも採用されている高速充電向けの規格です。

電圧を上げることで、同じ電流でもより多くの電力を短時間で送り込めるようになり、結果として充電時間の大幅な短縮につながります。

350kW急速充電で25分、10→80%

具体的な数字を見てみると、PV7は350kWの急速充電器を使った場合、バッテリー残量を10%から80%まで回復させるのに、わずか約25分しかかからないとされています。

長距離移動中の休憩時間内に大部分の充電を終えられる計算で、商用車として日々長距離を走る配送業者やドライバーにとっては大きなメリットになりそうです。

バッテリー容量は71.5kWhと96.2kWhの2種類が用意され、用途に応じて選べる構成になっています。

高速充電器につながれた電気自動車のバッテリー残量表示

そもそも800Vアーキテクチャとは何か

電気自動車の充電性能を語る上で欠かせないのが「電圧」の存在です。

多くの一般的なEVは400V前後のシステムを採用していますが、電圧を2倍近くまで引き上げることで、同じケーブル・同じ電流でもより多くの電力を一度に送り込めるようになります。

家庭用の水道にたとえるなら、蛇口を大きくひねらなくても、水圧そのものを上げることで一気に水を流し込めるようなイメージです。

ただし、電圧を上げるには車両側の部品もそれに耐えられる設計にする必要があり、コストや開発の手間がかかります。

だからこそ、800Vアーキテクチャの採用は、その車種が本気で充電時間の短縮に取り組んでいる証と見ることができます。

パワートレインと積載性能

駆動方式はフロントに搭載された単一モーターで、最大出力は268馬力(200kW)、トルクは420Nmを発揮します。

全長は17.5フィート(約5.3m)を超え、乗車定員は最大9人、あるいは大容量の荷物を積み込む貨物仕様としても展開される見込みです。

さらに、車両から外部へ電力を供給できるV2L(Vehicle to Load)機能にも対応しており、キャンプや災害時の非常用電源としての活用も期待できます。

編集部コメント:商用車から個人向けEVへ波及する充電技術

今回のPV7は商用車という位置づけですが、800Vアーキテクチャという基幹技術は、いずれ起亜の一般向けEVラインナップにも展開されていくとみられます。

充電の速さは、EV普及における最大のハードルの一つとされてきたテーマだけに、商用車で培った技術が乗用車へ波及する流れは、業界全体にとっても意味のある一歩です。

日本ではまだ800V級の急速充電インフラが十分に整っているとは言えませんが、こうした車両の登場が充電インフラ側の整備を後押しする可能性もあります。

「充電が速いEV」という選択肢が広がることは、EV導入をためらっていた層の背中を押すきっかけになるかもしれません。

充電インフラ側の対応も欠かせない

どれだけ車両側が800Vに対応していても、その性能をフルに引き出すには、対応する超高出力の充電スタンドが整備されている必要があります。

PV7が想定する350kWという出力は、現時点では欧州の主要幹線道路沿いなど、限られた場所にしか設置されていません。

つまり、800Vアーキテクチャという技術は「車両の準備」だけでなく「社会インフラの準備」が両輪でそろって初めて真価を発揮する仕組みだということです。

今回のような商用車から充電インフラの整備が進めば、その恩恵はいずれ一般の乗用EVユーザーにも波及していくことになります。

PBVという新しい車のジャンル

PV7が属する「PBV(Platform Beyond Vehicle)」というジャンルは、従来の乗用車や商用バンとは一線を画す考え方で作られています。

用途に応じて内装や車体を柔軟に組み替えられる設計を土台に、宅配業者向けの貨物仕様から、送迎サービス向けの多人数乗車仕様まで、1つのプラットフォームで幅広くカバーすることを目指しています。

こうした柔軟性の高い車体づくりに、800Vという最新の電動化技術を組み合わせたのが今回のPV7です。

ラストワンマイル配送の効率化や、EVタクシーの稼働率向上といった、事業者側の切実なニーズに応える製品として設計されている点も見逃せません。

日本市場への展開はまだ未定

PV7は現時点で欧州の商用車市場を中心に展開される見込みで、日本での発売については明らかになっていません。

ただ、起亜は近年、乗用EVラインナップの日本再展開にも意欲を見せており、今後800Vアーキテクチャを採用した乗用モデルが日本に投入される可能性にも注目です。

日本では宅配需要の増加に伴い、商用EVへの関心も年々高まっています。

海外の商用車市場で先行投入された技術が、どのタイミングで国内の物流事業者向けに紹介されるのか、今後の動向を注視していきたいところです。

充電時間の短縮は、車両の稼働率をそのまま押し上げる要素でもあります。

ドライバー不足が叫ばれる物流業界にとって、こうした技術の進化は単なる利便性の向上にとどまらず、経営効率そのものを左右するテーマとして受け止められていくはずです。

さらに、V2L機能を活用すれば、配送拠点での荷役作業用の電動工具や、災害時の避難所での電源供給といった用途にも車両を転用できます。

1台の車両が「移動手段」以上の役割を担うようになっていく流れは、今後のEV開発全体を占ううえでも興味深いポイントです。

地震や台風といった自然災害が多い日本では、こうした移動式の非常用電源としての活用も、今後EV導入を後押しする大きな理由の一つになっていくかもしれません。

単なる移動手段としてだけでなく、暮らしを支えるインフラの一部としてEVを捉え直す視点が、これからますます求められていきそうです。

参照元:(Carscoops関連報道・InsideEVs「Kia’s New Electric Van Is Bigger And Better, With An 800V Architecture And Flexible Body Styles」)
(https://insideevs.com/news/808421/kia-pv7-800v-charging/)

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