創業100周年に合わせた一台の予告
ボルボが、2027年に創業100周年を迎えるのに合わせて、次世代デザイン言語を初披露する特別なコンセプトカーを発表すると明らかにしました。
CEOのトーマス・インゲンラート氏によると、このコンセプトはボルボの豊かな歴史からインスピレーションを得たデザインになるとのことです。
披露はまだ先の話ですが、すでに外観の方向性はいくつか示されています。
SUVをベースにしたフォルムで、丸みを帯びたボンネットと直立したグリルが特徴になるとみられています。
今回のコンセプトで示されるデザイン言語は、今後登場するボルボの全モデルに波及していく予定です。
「もうタッチだけに頼らない」という決断
今回の発表でとりわけ注目されているのが、インテリアに関する方針転換です。
インゲンラート氏は、近年のボルボ車がタッチスクリーンに依存しすぎていたことを認め、ユーザーや自動車ジャーナリストからの不満に応える形で、今後のモデルには物理的なボタンやスイッチを復活させると明言しました。
タッチスクリーン一辺倒からの揺り戻しは、ここ数年の自動車業界で静かに広がっていた声でもあります。
運転中に目線を落とさず操作できる物理ボタンの価値が、EVシフトの波の中で見直されつつあるタイミングでの表明といえます。
13車種で市場シェア倍増を狙う野心
このデザイン刷新は、単発のコンセプト発表にとどまりません。
ボルボは2030年末までに13の新型車を投入する計画を明らかにしており、その内訳は西欧・北米向けが7車種、中国向けが6車種とされています。
パワートレインはハイブリッドとEVの両方を展開する方針です。
会社としては、現在の市場シェアを2倍にすることを目標に掲げており、プレミアム自動車ブランドの中でもトップクラスの地位を目指す狙いがうかがえます。
西欧向けの車種には、新しいSPA2・SPA3という技術プラットフォームが採用される見込みです。
ワゴン復権の噂と新セグメントへの参入
今回の戦略発表でもうひとつ目を引くのが、「新しいセグメントへの参入」を示唆した点です。
ボルボは具体的な車種には触れていないものの、「驚きを期待してほしい」と含みを持たせたコメントを残しています。
これに関連して、セダンやワゴンボディの復活を示唆する報道も出ています。
SUV一辺倒だったラインアップに変化が生まれる可能性があり、ワゴン好きのファンにとっては久々の朗報になるかもしれません。

編集部コメント:UIの「揺り戻し」は世界的トレンドになるか
ここ数年、自動車の内装は「とにかく画面を大きく」という方向に突き進んできました。
しかし今回のボルボの方針転換は、その流れに一石を投じるものです。
運転中の操作性という観点では、物理ボタンに一日の長があるのは明らかです。
ボルボほどの規模のメーカーが明確に方針転換を打ち出したことで、他の欧州メーカーにも同様の揺り戻しが波及していく可能性は十分にあります。
デザインの流行は一周して戻ってくることが多いものですが、今回はその動きが「安全性」という実利的な理由に裏打ちされている点が興味深いところです。
日本の読者にとっての注目ポイント
日本ではまだボルボのEVシフトが本格的に浸透しているとは言いがたい状況ですが、今回のような「使い勝手重視」への方針転換は、日本の消費者心理とも相性が良さそうです。
センサーやタッチ操作に頼りすぎない操作系は、年齢を問わず支持されやすい要素だからです。
2027年の正式発表までにはまだ時間がありますが、すでに次世代ボルボの方向性を占う重要な手がかりが出そろいつつあります。
ワゴンの復活がもし実現すれば、国内のファンの間でも話題になりそうです。
今後、具体的な車種名やデザインスケッチが公開されるタイミングも、引き続き注目していきたいところです。
SPA2・SPA3という新プラットフォームの意味
今回の戦略の土台になっているのが、西欧向けモデルに採用される見込みのSPA2・SPA3という新しい技術プラットフォームです。
プラットフォームとは、車体の骨格や主要な電子制御の仕組みを共通化する設計の土台のことで、複数の車種で使い回すことで開発コストを抑えつつ、短い周期で新型車を投入できるようになります。
13車種という多さを2030年までに実現するためには、こうした土台の共通化が欠かせません。
裏を返せば、今回の計画はデザインの刷新だけでなく、開発体制そのものを効率化する狙いも含まれていると見ることができます。
中国市場向けの6車種という比重の大きさ
今回の13車種のうち、6車種が中国市場向けに割り当てられている点も見逃せません。
西欧・北米向けの7車種とほぼ並ぶ規模であり、ボルボにとって中国市場がいかに重要な位置づけになっているかがうかがえます。
中国はEVシフトのスピードが世界でも特に速い市場であり、現地メーカーとの競争も激しさを増しています。
ボルボが中国専用モデルをこれだけの規模で用意するのは、現地のニーズや価格帯に合わせた製品展開を強化し、競争力を維持するための布石といえそうです。
編集部の視点:デザイン発表と事業戦略はセットで見るべき
今回のニュースは、単に「かっこいいコンセプトカーが出る」という話にとどまりません。
デザイン言語の刷新、物理ボタンの復権、13車種計画、市場シェア倍増目標、中国向け比重の大きさ──これらはすべて、ボルボが2030年に向けて描いている事業戦略の一部として連動しています。
自動車メーカーの新型コンセプト発表は、しばしばデザインの話題だけが先行して取り上げられがちですが、今回のように経営戦略全体とセットで発表されるケースは、今後の業界動向を読み解くうえでも参考になる事例です。
安全性ブランドとしてのボルボが選んだ道
ボルボといえば、長年「安全性」を前面に打ち出してきたブランドです。
シートベルトの3点式固定方式を世界で初めて量産車に搭載したことでも知られており、安全技術への投資はブランドの根幹を支えてきました。
今回の物理ボタン回帰という決断も、見方によっては「運転中の視線移動を減らす」という安全性へのこだわりの延長線上にあるとも解釈できます。
タッチスクリーンの操作は、どうしても画面に視線を落とす時間が長くなりがちで、わずかな時間であっても前方不注意のリスクを高めます。
ブランドの伝統的な価値観と、最新のユーザー体験への配慮が、今回の方針転換の中で重なり合っている点は興味深いポイントです。
参照元:Carscoops「Volvo Teases Its Next-Generation Cars With Special 2027 Concept」
https://www.carscoops.com/2026/09/volvo-teases-its-next-generation-cars-with-special-2027-concept/
参照元:Carscoops「Volvo Will Launch 13 New Models By 2030, And Not All Of Them Will Be SUVs」
https://www.carscoops.com/2026/09/volvo-future-strategy/




コメント