それ自体が光を放つ太陽電池で新記録

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もしあなたが太陽電池の性能を判断するなら、変換効率――できるだけ少ない面積で多くの発電を可能にする――をおそらく考えるのではないか。逆に、電池そのものに光を放射する能力があるか、なんてことを考えるだろうか。

だが、その考えは、LEDのようにつくられた試作品「LED-type solar cell」にぴったり当てはまるのだ。変換効率の新記録を叩き出した電池を開発したのはカリフォルニア大学教授のエリ・ヤブロノヴィッチと卒業生のオーウェン・ミラーで、「太陽電池が光子を出せば出すほど、電圧は上昇し、また変換効率もよくなる」と彼らは考えた。

メカニズムはこうだ。試作の電池にはガリウムヒ素半導体が組み込まれており、その半導体が太陽光(に含まれる光子エネルギー)を吸収すると、半導体の中にある電子が自由に動き回るようになる。その過程で他の光子が生産されるまでは従来の太陽電池と同じ原理だ。しかし、試作の電池は発生した光子をできるだけ逃がすように設計された。この技術によって28.3%の変換効率を達成し、ガリウムヒ素系の従来の記録である26%を破った。

電気工学を専門とするヤブロノヴィッチ教授は、他の同業者がLED-type solar cellの研究を発展させて、数年以内に30%の効率化が実現するかもしれないと期待している。再生可能エネルギーへの注目が高まっている今、太陽電池の進化を願っているのは、彼だけではない。

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